
オーストラリアは、都市と自然がバランスよく共存する国です。シドニーの港町の景観、メルボルンのカフェ文化、ゴールドコーストのビーチなど、エリアごとに異なる魅力があり、車で移動するとその違いをより深く味わえます。
レンタカーを使えば、公共交通では行きにくい場所にも行きやすく、旅程を自分のペースで組めるのがメリットです。そのため、旅行や長期滞在を考える人にとって「現地で運転できるか」は重要な判断材料になります。
一方で、運転には事前確認が欠かせません。たとえば国際免許証の取得、オーストラリアでの免許書換え制度、州ごとに違う交通ルールなどです。これらを押さえておけば、現地で戸惑いにくくなります。
本記事では、旅行者・留学生・ワーホリ滞在者それぞれの視点で、オーストラリアで車を運転するための基礎知識をわかりやすく整理して解説します。
オーストラリアで運転する前に知っておきたいこと

オーストラリアは日本と同じ右ハンドルなので、日本人ドライバーにとって比較的運転しやすい国です。広大な土地をレンタカーや自家用車で巡ることは、オーストラリアならではの魅力的な体験です。クイーンズランドの太陽が降り注ぐ海岸線をドライブしたり、ケアンズからグレートバリアリーフを目指したり、メルボルン周辺のワイナリーを巡ったりと、自由な旅を満喫できます。
この記事の目的
・各州の交通ルールと運転時の注意点を解説
・国際運転免許証の取得方法を紹介
・日本の免許をオーストラリア免許へ書き換える手順を州別に説明
なぜ国際免許証が必要なのか?

オーストラリアでの短期滞在であっても、国際免許証(国外運転免許証)の取得を強く推奨します。なぜなら、万が一の事故や交通違反の際に、警察官への情報伝達がスムーズに行えるからです。また、国際免許証は、あなたの運転技能を証明する公式な書類となり、トラブルを未然に防ぐ役割も果たします。
国際免許証は身分証明書として使える?
国際免許証も身分証明の補助にはなりますが、オーストラリアでは基本はパスポートが求められます。特に年齢確認では原本提示が一般的で、コピー不可の場合もあるため注意しましょう。
一方、現地で免許証を取得・書換えできれば、携帯しやすい有効な身分証として便利です。
オーストラリアで使える運転免許証について

オーストラリアでは、運転方法として
国際運転免許証を使う
日本の運転免許証をそのまま利用する
日本の免許をオーストラリアの免許に切り替えて運転する
の3つの選択肢があります。
国際運転免許証の取得方法(日本国内)

日本国内で国際運転免許証を取得する方法を解説します。必要な書類や手続きを事前に確認し、スムーズに申請を行いましょう。
申請場所
- 国際運転免許証は、申請者の住所地を管轄する運転免許試験場または警察署で申請できます。
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ただし、国際免許証を発給できない警察署もある。確実かつ手間を省くためには、運転免許試験場で申請するのが安心です。
オーストラリアで国際運転免許証を利用する場合は、出発前に日本で手続きを済ませておく必要があります。すでに現地に滞在している人でも、日本にいる家族や知人に申請を依頼することは可能ですが、その際は委任状を用意して送付しなければなりません。
必要書類
・パスポート
・日本の運転免許証
・写真:縦5㎝×横4cmの写真(申請前6ヶ月以内に撮った写真)
・(代理人の身分証明書)
・(本人からの委託書)
有効期限と返納義務
国際運転免許証の有効期限は、発行日から1年間です。日本の運転免許証の有効期限が1年未満の場合は、国際免許証の有効期限も日本の免許証の有効期限までとなります。有効期限が満了した場合や、日本の運転免許証が失効・取り消された場合は、国際免許証を返納する義務があります。
国際免許証の取扱い
● ジュネーブ条約加盟国でのみ有効
● 更新制度はなく、有効期限は1年間のみ
期限が切れた場合は新たに申請する必要があります。
● 1年以上滞在する場合は現地の免許が必要
- 1年以上滞在する場合、多くの州で国際免許証での運転が認められません
- 州によっては「居住者扱い」になるタイミングが異なるため、現地免許への切替が求められます
オーストラリアの各州での運転免許

オーストラリアでは、州によって交通ルールや免許制度が異なります。各州のルールをしっかり確認し、安全な運転を心がけましょう。
NSW州
日本の免許で運転(観光・一時滞在)
- 一時滞在者(観光・ワーホリ等)は、原則「最長6ヶ月」、有効な海外免許で運転できます。
- 免許が英語表記でない場合は、英訳(English translation)または国際運転免許証(IDP)を携帯します。
- 2023年7月1日以降にNSWへ来て、6ヶ月超滞在して運転を続ける場合は、6ヶ月以内にNSW免許(Temporary NSW licence)の取得が必要です。
国際運転免許証(IDP)で運転
- IDPは単体ではなく、基本は「有効な海外免許+IDP(または英訳)」のセットで携帯します。
※「レンタカーなら1年OK」などは州ルールとしては一般化しない方が安全です(NSWの基準は上記の“6ヶ月”)。
NSW州の免許へ切替
- 日本は認定国(List A)のため、条件を満たせば知識試験・実技試験なしで申請可能です(普通車C/二輪R)。
- 免許が英語でない場合、申請にはTransport for NSWが認める翻訳が必要で、例としてMulticultural NSW等が挙げられています。
WA州
日本の免許での運転(観光・一時滞在)
- 観光・短期滞在などの訪問者(visitor)は、有効な海外免許で運転できます。
- 期間について、Austroadsは WAを含む多くの州は“ visiting driver は免許が有効な限り継続して運転可(NSW/VIC/NTを除く)
- 免許が英語でない場合、切替手続きでは公的な英訳(NAATI等)が必要です。
国際運転免許証(IDP)での運転
- IDPは単体ではなく、基本は「有効な日本の免許+IDP(翻訳扱い)+本人確認書類(パスポート等)」で携帯するのが前提です。
WA州免許への切替
- 永住者等(Australian citizen / permanent resident)は、WA居住開始から3か月以内に切替申請が必要で、3か月を超えると海外免許では運転できません。
- 免許が英語でない場合、申請ではNAATI認定の翻訳(またはDoTが認める翻訳)が求められます。
- 日本はWAのRecognised countries扱いで、条件を満たす(例:車・バイク、期限切れが12か月以内等)場合、理論・実技が免除されます。
QLD州
日本の免許証での運転
- 訪問者(観光など)は、有効な海外免許で運転できます。
- 免許が英語でない場合は、運転時に認められた英訳(recognised English translation)を携帯します(QLD政府はNAATI翻訳者を案内)。
- ただし、QLDに3か月居住すると「海外免許で運転できる権限」が撤回されるケースがあります(豪州国籍者/永住系ビザ等の条件あり)。
国際運転免許証(IDP)での運転
- 有効な日本の免許+IDP(または英訳)+パスポートをセットで携帯する前提で書くのが安全です(英語でない免許は英訳携帯が必要)。
QLD州免許への切替
- 申請時は、日本の免許証+NAATI翻訳(英語でない場合)+原本の身分証明書(コピー不可)+QLD住所証明などを持参します。
- 日本はQLDのRecognised countriesに含まれるため、普通車(C)/二輪(RE/R)の場合、条件を満たせば筆記・実技が免除されます。
VIC州
日本の免許証での運転
- 訪問者(観光・短期滞在)は、有効な日本の運転免許証と認められる英語翻訳(NAATI翻訳者による翻訳、または総領事館発行の翻訳)があれば、ビクトリア州内で運転できます。
- ただし、ビクトリア州で6か月以上居住する場合は、6か月を超えると現地の免許証への切替が必要になります。
国際運転免許証での運転
- 有効な国際運転免許証+有効な日本の運転免許証+パスポートを携行すれば運転可能です(国際免許は英語翻訳の一種として扱われます)。
- ただし、国際運転免許証だけではなく、日本の免許証原本も一緒に必要です。
VIC州免許への切替
- VIC州に6か月以上滞在する場合、現地の運転免許証(Victorian driver licence)への切替(Convert)が必要です。
- 日本の免許証保有者は、条件を満たせば筆記・実技試験が免除され、切替のみでVIC州免許を取得できます(日本免許が対象国扱い)。
申請時に必要になる主な書類は次のとおりです。
・パスポート
・有効な日本の運転免許証
・運転免許証の英語翻訳(メルボルン領事館発行の「自動車運転免許証抜粋証明」やNAATI翻訳など)
・現住所が確認できる書類
・申請書類・費用支払いのためのカード等
(この形式の翻訳や必要書類については在メルボルン日本国総領事館でも案内があります。)
ワーホリ・長期滞在者へのアドバイス

ワーキングホリデーや長期滞在を予定している方は、国際免許証と現地免許、どちらが良いか検討しましょう。それぞれのメリット・デメリットを比較し、自分に合った選択をすることが大切です。
国際免許証と現地免許、どちらが良いか?
国際免許証は、取得が比較的簡単で、渡航後すぐにオーストラリアで運転できる点がメリットです。一方で、有効期限が最大1年間に限られることや、州によっては長期滞在者は一定期間後に現地免許への切替が必要になる点、また身分証明書としての利用範囲が限られる点がデメリットです。
現地免許は、取得や切替に手間と時間がかかるものの、長期滞在者にとっては有効期限が長く、運転を継続しやすいだけでなく、公的な身分証明書として日常的に利用できるという大きなメリットがあります。
現地免許取得のメリット
身分証として“通りやすい”
- パスポートより日常で出す機会が多い 年齢確認・本人確認で使いやすい。
- 州によっては デジタル免許も普及していて、店側がQR等で確認できる仕組みが整っています(NSW/VICなど)。
「100ポイントID」系の手続きが楽になる
- 豪州では雇用・口座・各種申請で 100ポイントチェックが求められることがあり、運転免許(豪州発行)は使い勝手が良い書類のひとつです。
生活インフラの契約・手続きがスムーズ
- 携帯SIM/スマホ契約、銀行、賃貸、保険、学校手続きなどで「写真付きID+住所確認」が必要な場面が多く、現地免許だと話が早い(住所表示が効くことも)。
車まわりが有利になりやすい
- レンタカーやカーシェアで、提示書類がシンプルになったり、説明が減ったりしやすい(※会社規定による)。
- 事故や違反など“もしもの時”に、現地の書類でやり取りできて安心。
代替手段も提示できる
- 「免許までは要らないけど身分証が欲しい」人向けに、QLDなどは Proof-of-Age(写真付きID)の制度もあります。
車購入時の注意点
オーストラリアで車を購入する際は、いくつかの注意点があります。中古車市場は活発ですが、個人売買にはリスクも伴います。信頼できる販売業者から購入するか、個人売買の場合は十分に車両の状態を確認しましょう。また、自動車保険への加入は義務付けられています。万が一の事故に備え、適切な保険を選ぶようにしましょう。さらに、車両が安全基準を満たしていることを証明するロードワーシー(Roadworthy Certificate)の確認も重要です。州によって規定が異なるため、事前に確認しておきましょう。
オーストラリアの運転免許まとめ

オーストラリアで気持ちよく運転するためには、出発前の準備がいちばん効きます。国際免許で「すぐ走れる」形にするのか、現地免許を取って「長くラクに暮らす」形にするのか。滞在期間や目的に合わせて選ぶだけで、現地での手間も不安もグッと減ります。
そしてもう一つ大事なのが、州ごとのルールを“なんとなく”で済ませないこと。制限速度や標識、免許の扱いは州で違いがあり、知らないまま走ると損をしやすいポイントでもあります。基本を押さえて、あとは安全運転を徹底すれば、ロードトリップも日常の移動も一気に自由度が上がります。
この記事が、あなたの「運転できるかな?」を「よし、これで大丈夫」に変える材料になっていたら嬉しいです。準備を整えて、安心してハンドルを握ってください。安全運転で、最高のオーストラリア体験を!















